ハレオトコ [日々鉄道小景~ショートストーリー]
昔、「はれおとこ」と呼ばれていた時期があった。
家族の大切な記念日、学校の入学式、友達と出かけたバーベキュー、そして・・・
大切な人と出かけた大切な旅行。いつも、いつも晴れていた。
「いっしょに旅行に行くときはいつも晴れてるよね!」と、車の助手席でとびきりの笑顔で笑っていたあの子は、今はどこで何をしているのだろうか。
なぜか、雨は僕に晴れの日の出来事を思い起こさせる。
それが、人間の持つ逆説的思考からくるものなのか、潜在意識の中にある淡い記憶のかけらなのか、僕には分からないけれども。
「ハレ」と「アメ」。両方とも自然界には無くてはならないものなのに。
人がハレを恋するのは、やはり本能的に明るさを求めているからなのだろうか。
そして。
「私が一人で出かけるときは、いつも雨だから、やっぱり君が『はれおとこ』なんだよ。」
と少し寂しそうな顔をして付け加えたあの子に、
なぜ「時には雨も必要なんだよ」と、あの時言ってあげることが出来なかったのか。
もし、今再会できるのなら。
僕は雨の日に。
あの子と一本の傘をさしながら、ぬれた街を歩きたい。
[都電荒川線 荒川遊園地前 by Canon EOS 50D]
家族の大切な記念日、学校の入学式、友達と出かけたバーベキュー、そして・・・
大切な人と出かけた大切な旅行。いつも、いつも晴れていた。
「いっしょに旅行に行くときはいつも晴れてるよね!」と、車の助手席でとびきりの笑顔で笑っていたあの子は、今はどこで何をしているのだろうか。
なぜか、雨は僕に晴れの日の出来事を思い起こさせる。
それが、人間の持つ逆説的思考からくるものなのか、潜在意識の中にある淡い記憶のかけらなのか、僕には分からないけれども。
「ハレ」と「アメ」。両方とも自然界には無くてはならないものなのに。
人がハレを恋するのは、やはり本能的に明るさを求めているからなのだろうか。
そして。
「私が一人で出かけるときは、いつも雨だから、やっぱり君が『はれおとこ』なんだよ。」
と少し寂しそうな顔をして付け加えたあの子に、
なぜ「時には雨も必要なんだよ」と、あの時言ってあげることが出来なかったのか。
もし、今再会できるのなら。
僕は雨の日に。
あの子と一本の傘をさしながら、ぬれた街を歩きたい。
[都電荒川線 荒川遊園地前 by Canon EOS 50D]
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