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あとがき~『記憶のかけら』の出稿を終えて [日々鉄道小景~ショートストーリー]

京浜東北線の車内でのふとした出会いから、呼び起こされる過去の記憶…
勇太の過去にいったい何があったのか…

大変長らくお待たせ致しました。日々鉄道小景~ショートストーリー 最新作「記憶のかけら」、いかがでしたでしょうか?

↓↓まだ読まれていない方はこちら↓↓
http://sekiyu-oh.blog.so-net.ne.jp/2011-02-24

まずは、出稿まで大変時間がかかってしまったことをお詫びしなければなりませんm(_ _)m
しかも、予告編でその週末に出すといっておきながら、更に1週間かかってましたし・・・(笑)
そば屋の出前みたいでしたね・・・(^^;;)

とにかく、今回も難産でした。物語のプロットはだいぶ前から出来上がっていたのですが、後半の箇所、主人公の記憶が呼び起こされる辺りの記載が非常に説明的になってしまい、何度も書き直しています。登場人物も若干異なっていました…
出来栄えとしては、70点くらいですが、今までに出した作品の中では一番小説らしいかな?(^^)

「いつも恋愛小説ばかり書いてますね」と言われたので(笑)、今回は「一応」家族小説を書きました(^^)。
僕もおばあちゃん子で、この物語の一部には自分の経験も含まれていますが、原則はフィクションです。

・・・実はいろいろな心境の変化があり、今回、この物語は出品せずにお蔵入りにしてしまう予定でした。
しかし、何人かの人からの励ましを受け、気持ちを切り替えて無事作品として仕上げることが出来ました。

催促という形で激励してくれた(?)H君、
相談に乗ったり、落ち込んでいる僕の気持ちを聞いてくれたRさん、
本当にありがとう。君たちの支援があったからこそ、この作品は完成したのだと思います。

この物語を読んで、家族とか愛情とかについて再考してもらえたら、作者としては望外の喜びです。
そして出来れば、感想をお寄せいただけると大変うれしいです!
もちろん、「ココはこう書いた方が良い!」とか「こんなエピソードの作品も書いて!」などのご批判、リクエスト、何でも結構です!! コメント欄にはなかなか残しづらいようであれば、以下のメールアドレスか、facebook・mixiでコメントいただいても全然OKです!(facebookにいらっしゃるともれなく、私の本名が分かります(笑))

これからの作品作りのエネルギーにもなりますので、是非よろしくお願いしますm(_ _)m

メール: saitaman0309-blog@yahoo.co.jp
facebook: http://www.facebook.com/kentaro.arai
mixi: http://mixi.jp/show_profile.pl?id=34989982

・・・さて、次回作ですが、回を追うごとに話が長くなっているので(笑)、次回は3部作とします!
話はやはり恋愛ものですが(爆)、もしかしたらピュアな話にはならないかも知れません(笑)
R18指定ものかも!? お子様はご遠慮下さいませ(笑)

現在、鋭意プロット作成&執筆中ですので、完成まで今しばらくお待ち下さいm(_ _)m

それでは!

20110205_015.jpg
[2011/02/05 釧網本線 塘路~茅沼(サルボ展望台より)]

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記憶のかけら [日々鉄道小景~ショートストーリー]

20101106_032.jpg

「え~!その話この前したじゃん!勇太くん、また忘れちゃったの?」
まだ春と呼ぶには少し肌寒い、それでもよく晴れた日曜日の夕刻、京浜東北線が桜木町の駅を発車して間もなく、隣の席の真紀があきれたような声を上げた。電車の中は休日を遊園地などで過ごした家族連れやカップルが多く、車内にはそんな人たちの心地よい疲れと談笑が満ちていた。

「そうだっけ?そんな話したっけかなあ?」
真紀が話題にしているのは、彼女の職場の同僚の話。どう考えても僕には聞いた記憶がないのだが、彼女は頑として譲らない。
「したよ、した!おととい恵比寿で食事してるとき。もう忘れちゃったの?」
そう言われれば、おぼろげながら記憶のかけらがよみがえって来るのだが、依然、それがおとといの話なのか、1か月前の話なのか、彼女の職場の同僚の話なのか、学生時代の友人の話なのか、判然としない。
「そう言われれば、そういう気がするけど…それにしても、真紀は記憶力いいね」
「勇太くんが悪すぎるんだよ!なんでおととい話したことも覚えてないの?もしかして健忘症?」
……相変わらず真紀は口が悪い。気が強く、思った事がすぐに口をついて出てしまうタイプで、時折きつい事も言うが、悪気はなく、そんな所が僕はひそかに好きだったりする。
「やっぱりさ、年齢重ねると脳が老化するっていうじゃない?勇太くんも今のうちから『脳を鍛えるトレーニング』とかやっといた方がいいよ。そうじゃないと、おじいちゃんみたいになっちゃうよ!」
「あはは…そうだね、もっと記憶力が良くならなくちゃいけないなあ」

僕は敢えて間延びしたような声を上げて、目を窓の外に向けた。
窓の向こうには、高速道路の高架線と、その先に雑居ビルの群が、そしてその間から時折夕日がチラッチラッと姿をのぞかせていた。今日はやけに夕日が目に眩しいのは、一日中遊びまわっていた疲れからだろうか。




……「ユウちゃんは、記憶力がいいからねえ」
しばらくウトウトしてしまったのだろうか、ふと懐かしい声が耳に響いてきて、僕は、はっと目を覚ました。隣を見ると、さっきまでいたはずの真紀の姿が見えない。僕はあわてた。今度は寝過ごして、真紀は怒って一人で帰ってしまったのだろうか…?


………それにしても、さっきの声は…


「だって、あんなに分厚い絵本を全部そらでスラスラ言えちゃうんだもの。ばあちゃんビックリしちゃったよ…」
声のする方を見て、僕は起きたとき以上にびっくりして、思わず「あっ」と声を上げた。ななめ前の優先席に年老いた老婆と小さな男の子が座っているのだが、その老婆は僕が高校生のときに亡くなった祖母にそっくりだったからだ。


………小さい頃、僕はおばあちゃん子だった。僕がまだものごころつく前から母はフルタイムで働きに出ており、祖母が母親代わりとなって僕の面倒を見てくれていた。なぜ母は僕が小さい頃から働きに出ていたのか…中学校に入るまで、僕はその本当の理由を知らなかった。


「本当にユウちゃんはすごいねえ…」
老婆は、孫とおぼしき少年の頭をなでながら、優しくそう言って笑っていた。
「ばあちゃん、『きおく』ってなあに?」
「そうだねえ、なんでもよ~く覚えてるってことだよ」
「ふーん…」
男の子は、老婆の言うことを理解したのかしていないのか、所在なげに足をブラブラさせて退屈そうに座席に座っていた。


………いや、あの人が祖母であるはずがない。祖母は僕が高校生のときに心筋梗塞でパッタリ倒れ、そのまま亡くなってしまったのだ。


「でも、この前の『ももたろう』なんてさ、すぐに覚えちゃうよ。だってそんなに長くないんだもの。お父さんが今度買ってきてくれた本は『トムソーヤのぼうけん』っていってね、もっと難しい本なんだよ!でも、ばあちゃんはせっかく僕がその本読んでたのに、なんで急にお出かけしようなんて言ったの?」
男の子は少し不服そうに老婆に対して口をとがらせた。
「そうだったかい、ごめんねえ…。どうしても急なご用があったもんでねえ。でもそんな難しいご本読むなんてユウちゃんは本当にすごいねぇ。」
老婆は、孫とおぼしきこの少年のことが可愛くて仕方がないらしく、またゆっくりと男の子の頭をなでながらそう言った。
ふと、老婆の顔に深い悲しみのような影が横たわったように見えたが、その表情は電車がトンネルに入るとすぐに見えなくなってしまった。


………「お父さん」か…。
父は、僕が幼い時に交通事故で死んだのだと祖母から聞かされたのは、確か小学校1年生くらいのことだったように記憶している。その当時の僕は、「死」というものを正確には理解していなかったかも知れないが、それでもテレビなどで「死」というものがどのようなものなのか、そしてそれが悲しい出来事なのだということを漠然と理解はしていたのだと思う。そういえば、祖母がその話をしたときも、目の前の老婆が見せたような悲しげな表情をしていたような気がする。あの当時は、てっきりそれが「お父さんが死んでしまった」ことを悲しんでいるからだと思っていたのだが。


列車はどこかの鉄橋を渡っていた。老婆はウトウトと眠ってしまったようだ。少年は相変わらず足をブラブラさせながら、何を考えているのか、じっと窓の外を見ている。
遠くの川向こうに、今まさに沈まんとする夕陽が、寂しそうにその最後のひとしずくを車内に投げかけていた。鉄橋のトラスと電車の窓枠によって作られた夕陽の影絵は、鉄橋を渡る列車の規則的なジョイント音とリズムを合わせながら、いつの間にか老婆と少年以外誰も乗客の居なくなったロングシートの座席を何度も通り過ぎていった。


デジャビュ(既視夢)を見る感覚というのはこういうものなのだろうか?
夕陽の影絵がからっぽな列車の車内をスーっと通り過ぎていくその様は、僕の頭の片隅に、なにか遠い日の記憶のかけらを呼び起こしたような気がしたのだが、それはすぐに、僕の脳内という迷路の中に再び行方をくらましてしまった。
やはり、真紀の言うとおり、健忘症なのだろうか?どうして僕はこう大事なことをすぐに忘れてしまうんだろう…


「蒲田~蒲田~東急線はお乗換えです~!」
僕の思考は、電車のドアが乱暴に開く音と、スピーカーから聞こえてくる大音量の駅員のダミ声によって、突然かき消された。
いや、そうではない。開いたドアから息を切らせて乗り込んできた若い女性の姿を見て、僕の思考がストップしたのだ。


「勇太!」


…勇太?…


女性は大きな声で叫ぶと、老婆と少年の方に一目散に駆け寄ってきた。

「おかあさん!」
少年もまた、座席から飛び降り女性のもとに駆け寄って、足にしがみついた。

女性は辺りをはばかることなく、いきなり少年を抱き上げて、強く抱きしめた。
「ああ、良かった!勇太…」
女性は泣いているようだった。一筋の涙が、女性の頬を伝わり、それは抱き寄せている少年の真っ赤な頬にも伝わっていった。

その涙を見て、いやその涙が「僕」の頬を伝わる感覚を思い出し、そして、そのときようやく、僕の脳内に迷い込んでいた記憶のかけらが、一つの形を為して、僕の目の前に姿を現した。
……あの日…僕はお父さんに買ってもらった本を置きっぱなしにして、ばあちゃんに連れて行かれたんだ……


………父は、本当は死んでいなかったということを祖母から聞かされたのは、僕が中学生になった年の誕生日だった。父と母は、僕が幼稚園に入園するまさにその日に離婚届を提出し、正式に離婚が成立した。
離婚理由は「性格の不一致」。と言えば聞こえはいいけれど、父は今でいうDVのような事もやっていたらしい。母が若すぎたということもあり、上手く対応できなかったのも、原因の一つにあったようだ。
いろいろすったもんだがあった挙句、母は身一つで家を飛び出し、幼稚園入園の前日に、ようやく祖母が僕を「取り返し」に父の家に出向いたという話を、祖母は泣きながら僕に語っていた。

……「ごめんねえ、春だって言うのにあの日は寒くてねえ。でもユウちゃんは黙ってばあちゃんについて来てくれてねえ…一生懸命ご本を読んでるのを無理に連れ出すのは、そりゃ忍びなかったよ…本当にごめんねえ…ユウちゃんには悲しい思いをさせちゃったねえ…ごめんねえ…」

何度も何度も泣きながら僕に謝る祖母の顔は、そう、先ほどトンネルに入る直前に少年に見せた悲しそうな表情そのものだったのだ。
……半ば強制的に父親のいない生活を孫に送らせることになってしまったこと、そしてそんな孫に「父親は死んだ」と嘘をついていたことに、祖母はずっと罪悪感を感じていたのだと思う。



………人の記憶というのは不思議なものだ。普段はそんなことを考えもせずに毎日を暮らしているのに、こうやって一旦思い出すと、その当時の記憶がとめどなく堰を切ったようにあふれてくる。

父と一緒に枕元で本を読んだこと。
母が団地の台所でネギを刻んでいた包丁のトントンという音。
父と母と三人でたまに遊びに行ったときの祖母のうれしそうな笑顔。


……そして、父が母に手をあげる瞬間。


少年が母に手をとられて、蒲田駅のホームを歩いていく様子を眺める僕の目から、涙がとめどなくこぼれ落ちてきた。
「こんな、こんなつらい記憶を思い出すなんて!なんで…なんで……」
いつしか、僕は本当に子供のように、大声で泣き出し、その場にしゃがみこんでいたのだった…




……ふと温かい手が僕の背中をさすってくれているのを感じて、僕ははっと顔を上げた。


……懐かしい顔が近くにあった。


「ごめんねえ、ユウちゃん…」
「…ばあちゃん!」
「もう二度とユウちゃんに悲しい思いをさせないって誓ったのに、大人になったユウちゃんにまで悲しい思いをさせちゃったねえ。本当にごめんねえ…」

祖母は少し寂しそうな顔をしながら、僕にゆっくりと話しかけた。

「…なんで僕が勇太だって分かったの?」
「なに言ってるんだよ、ばかだねえ。すぐに分かるよ。ユウちゃんはユウちゃんじゃないか。」

祖母の優しい笑顔を見て、一旦はとまった涙がまたこぼれ落ちてくる。

「ほらほら、良い子だから、また泣いちゃあいやだよ。もうそんなに泣かないでおくれ」
「ごめんね、ばあちゃん。ばあちゃんの方こそつらかったのにね」
「そんなことないよ。でも本当に大きくなったねえ。まあ立派になって…ばあちゃんうれしいよ。」

「ばあちゃん…」
「ん~?なんだい?」
「なんでこんなつらい記憶を思い出さなきゃいけないんだろう…。つらい記憶なんて、全部忘れちゃえばいいのに」

僕は、子供の頃に戻ったかのように、少し口をとがらせて、不満げに祖母にそう尋ねた。

「そうだねえ。その方が楽かもしれないねえ。でもね、ユウちゃん。つらい記憶を背負ってにんげんは生きていくものなんだよ…それにね、つらい記憶を持ってる人は、傷ついた人はね、きっと、きっと人に優しくできる」
「そんな!こんなつらい記憶なんて持ってたら……僕ぜったい人に優しくなんかできないよ!」
「大丈夫だよ…ユウちゃんなら。ユウちゃんは本当に優しい子じゃないか。ばあちゃんずっと見てきたよ。それにさっき隣にいた、かわいらしい女の子はユウちゃんの恋人かい?ほら、ユウちゃんはあの子にもあんなに優しいじゃないか」

そう言って祖母は、さっき少年の「僕」にしてくれたように、優しく僕の頭をなでてくれた。

「……ばあちゃん…」
「だいじょうぶ、だいじょうぶ…そうだ、おまじないをしてあげようか。ユウちゃん、手を出してごらん。赤ちゃんの頃、こうやってばあちゃんがユウちゃんの手を握ってね、『怖いの、怖いの飛んでけ~!』っていうと、ユウちゃんすぐに泣き止んでくれてね。
ほら、『怖いの、怖いの飛んでけ~!』 どうだい、少しは元気になったかい?」
「あはは…ばあちゃん恥ずかしいよ…もうこれでもいい大人なんだから…」
「そうだったねえ、ごめんねえ。いつまでも赤ん坊のときのユウちゃんのままみたいでねえ」
「…でもありがとう。ばあちゃんに手握ってもらったら、少し元気が出たよ…」
「そうかいそうかい、良かったねえ…」




……列車はいつの間にか、古い小さな駅に停車していた。ホームにぽつんと立つ小さな電灯が、寂しそうに光っている。

「ああ、ユウちゃん、そろそろばあちゃん行かなくちゃいけないよ…」
「そんな!今会ったばっかりじゃないか!いやだよ!行かないでよ、ばあちゃん!!」
「ごめんねえユウちゃん、でもやっぱりもう行かなきゃいけないよ…じゃあねユウちゃん」

祖母は少し寂しげに笑いながら、そう言って立ち上がった。

「ばあちゃん、行かないで!!」
「大丈夫だよ、ユウちゃんはもう一人じゃないから…あの子と仲良く暮らすんだよ…」

列車のドアが、スーっと開いた。

「じゃあね、ユウちゃん。元気でね…」

「ばあちゃん!!」


……だいじょうぶだよ……


次第に遠ざかる声がこだまのように僕の耳に優しく響き、声は一つの音となり、鉄路を行く列車のジョイント音となって僕の耳に届いて来る…

…それはまるで遠い昔、祖母に抱かれて眠っていたときの、優しく背中をたたきながら聞かせてもらったあの子守唄のようであった…


********************


目を覚ますと、電車は市街地を走っていた。外はとっぷりと日が暮れて、家々の明かりが灯り始めている。

傍らではすっかりしゃべり疲れた様子の真紀が僕の肩に寄りかかって、軽く寝息を立てている。
先ほどまで老婆と少年が座っていたはずの優先席には、ギターを担いだ茶髪の高校生2人組が大声で談笑しており、それを近くのサラリーマンが苦々しそうに見ていた。

僕は苦笑いをしながら、もう一度真紀を見たあと、自分の手のひらを見つめた。

たぶん、夢、だったのだろう。
さっきまで祖母が握ってくれていた手の中には、昨日会社の近くでこの日のために買ってきた「それ」を包んだ小さな箱が握りしめられている。
なんたって、給料3ヶ月分だから!なくしたら大変だと、電車に乗る前からずっと手に持っていたのだ。
僕はこれを真紀に渡すことが出来るのだろうか。いや、渡す資格が僕にはあるのだろうか…

遠い日の記憶のかけらの問いかけに

……だいじょうぶだよ……

ばあちゃんの声が聞こえた気がした…


「ご乗車ありがとうございました~まもなく蒲田~蒲田でございます。東急線はお乗換えです~」
普段はテープのアナウンスのはずなのに、今日は久しぶりに「懐かしい?」だみ声の車掌さんのアナウンスが聞こえてきた。

蒲田を過ぎたら、もう間もなく僕たちが暮らす街が見えてくる……

僕は、隣でまだ眠っている真紀を起こすために声をかけようと、一つ大きな深呼吸をした…


[カバー写真 2010/11/06 新橋駅 /この物語はフィクションです]

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エゾシカとともに~北海道旅行記3 [北海道]

降りしきる雪の中、カメラを向けた先にはエゾシカが。
北海道ではよく見られる光景ですが、列車と一緒に撮影できたのはラッキーでした。
20110205_047.jpg
[2011/02/05 釧網本線 塘路~茅沼]

複数の方から、「ショートストーリーの最新作はまだ?」という励ましというか、催促を頂いております(笑)現在鋭意執筆中で、出来れば今週中にはアップしたいと考えておりますが、今回も難産です・・・(^^;;)プロットはおおむね固まっているのですが、途中のストーリー描写が非常に稚拙なので、何度も書き直している最中です。
取り急ぎ楽しみにされている方のために、予告編だけ・・・↓↓

「日曜日の夕方、ガールフレンドの真紀とのデートの帰り道。京浜東北線の車内で、勇太は懐かしい人に出会った。その出会いが、図らずも彼の古い記憶を呼び覚ますことになる……。日々鉄道小景~ショートストーリー最新作 『記憶のかけら』。 近日公開予定!お楽しみに!!」


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流氷の平原を行く~北海道旅行記2 [北海道]

どこまでも続く鉄路、その脇にはオホーツクの凍てつく海に流氷が着岸しています。
遠くに列車のヘッドライトが見えてから、およそ5分、寒風吹きすさぶ中を快速列車が雪煙を上げて走り去っていきました。

この撮影ポイント、雑誌などにも結構紹介されていますが、たどり着くのは容易ではありません・・・
車を駐車できるスペースから、およそ20~30分は歩く覚悟が必要です(北海道の他の撮影ポイントに比べたらラクかもしれませんが・・・(笑))

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[2011/02/06 釧網本線 止別~知床斜里]


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朝日を浴びて~北海道旅行記1 [北海道]

またまた大変ご無沙汰しておりました・・・正月早々いろいろありまして・・・

さて、先週土日で釧路・知床に行ってきました。冬の北海道は初めてで、大変寒かったですが、とても美しい光景に出会うことができました。

写真は知床斜里駅近くの歩道橋からの撮影です。
朝一番の釧路方面列車が朝日にキラキラ輝いていました。

20110206_102-3_1.jpg
[釧網本線 知床斜里-中斜里 By Canon EOS50D]


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2010年 結びの挨拶に代えて [日々鉄道小景~ショートストーリー]

20081229_094.jpg

いよいよ、今年も最後の一日となりました。
皆様は今年一年をどのようにお過ごしでしたでしょうか?

少し個人的なことを書きます。
今年は、年初の引越しに始まり、本当にいろいろなことがあり、私にとって激動の一年でした。
嬉しかったこと、悲しかったこと、さまざまなことを経験する中で、そこには常に人との出会いと別れがありました。

年後半から少しずつ書き綴っている「日々鉄道小景~ショートストーリー」は、フィクションではありますが、そのような多くの人との出会いと別れの中で、私が感じたことやヒントを得たことを基に作成したものです。拙文ではありますが、これを読んで元気をもらっているという方もおり、私の作品に愛着を持って頂けるのであれば、それは作者として望外の喜びであります。

「運命」という作品の中でも少しふれましたが、時折、「自分自身の運命が線路のように決まった筋書きの上を走っていると分かれば良いのに…」と思うことがあります。
どこでどのような人と出会い、別れ、そして自分自身の人生がどのように終わるのか…
自分の心が傷つくたび、「運命が分かっていれば、自分の人生がどんなにか楽になるだろう」と考えたのも、一度や二度ではありませんでした。
でもそのたびに、運命は、分かっていないからこそ、そこに面白みがあるのだと思い返し、その面白みを喜びとして噛み締めることが、ようやく少しずつではありますが、出来るようになりました。

出会った人の中には、苦しい境遇に置かれ私以上に心が傷ついている人、私を傷つけた人、そして私自身が傷つけてしまった人など、いろいろな人がいました。

その一瞬一瞬は、運命を呪ったり、まだ見ぬ将来に不安を感じたりすることもあるかも知れない。でも、雪降る冬の後には必ず春が、夕闇の向こうには必ず朝が待っているように、あなたの人生にもきっと明るい未来が待っている。
そして、その未来を作るのは、運命を切り開いていくのは、他の誰でもないあなた自身なのだということを、僕と出会った全ての人に対する言葉とし、今年の結びの挨拶に代えさせて頂きたいと思います。

今年一年間、どうもありがとうございました。来たる新年が皆様にとって良い一年でありますことを心よりお祈り申し上げております。
[カバー写真 飯山線 森宮野原-横倉]


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タグ:飯山線
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約束 [日々鉄道小景~ショートストーリー]

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「大きくなったら、一緒に富士山のぼろ~ね!約束だよ!! ♪指きりげんまん、うそついたらはり千本飲~ます!」
この場所に立って富士山を眺めると、僕はいつも、そう歌っていた彼女のあどけない笑顔を思い出す。

安藤広重もその著作の中で描いたといわれる景勝地、薩多峠(さったとうげ)から眺める富士山は、12月の澄み渡った空の下、駿河湾の遥か彼方にその威容を示していた。
見上げると、どこから来たのか、空には一羽の白い鳥が舞っている。
富士山を眺望できる場所はいろいろあるけれど、ここから眺める富士山が一番きれいだと僕、いや「僕たち」は思う。

ふと、自分の顔にわずかな翳りが見えそうになるのを必死に隠しながら、僕は傍らに立つ志穂に笑いかけた。今日の青空を映し出したような大きな瞳をくるくるさせながら、彼女もまた僕に微笑みかけてくる。

志穂とこの場所に来るのは、もうこれで3回目だ。これといってめぼしい観光スポットがあるわけでもない、あるものと言えば、ミカン畑と遠くに見える富士山だけというこんなさびれた場所になぜ、好き好んで何回も来るのか、彼女はその訳を聞こうともせず、いつも黙って僕についてきてくれた。

「あれが富士山…やっぱり高いね。圭一くん、私たち、あそこに登ったら本当に幸せになれるのかな…」
志穂がこう言うのを聞いて、突如僕の中に古い記憶の傷が、痛みを伴ってよみがえってきた。


……今はもう遠い昔、僕は少女と淡い約束を交わした。
少女は生まれついての難病を患っており、同じように体の弱かった僕と病院の同室だった。
ある時、彼女が母親からもらったという本を見せてもらうと、そこには鮮やかな色彩で川や海などが描かれていた。それが安藤広重の書いた「東海道五十三次」である事を知るのはもっと後になってからだったが、それでもどの絵にも大きな富士山が描かれているのは、幼い僕にも分った。
「わたしね、この絵が好き。けーくん、『さった峠』って知ってる?」
そう言って見せてくれた本の1ページには、山と、海と、そしてその海の遥か彼方に大きな富士山がそびえ立っていた。どうやらそれが薩多峠と呼ばれる景勝地らしかったが、幼い僕にはそんなことが分かる筈もなく、それでも生まれて初めて抱いた恋心と呼ぶにはまだ遠い、気持ちの高まりを押さえようとするかのように、わざとぶっきらぼうに
「知ってるよ!そのくらい。当然だろ!」と知ったかぶりをしていた。

そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、彼女は僕のベッドにもぐりこんできて、
「わたしね、この絵が好き。富士山っていろんな所から見えるでしょ。ほら、この病院の屋上からも。でもわたしね、この薩多峠から見る富士山が一番きれいな気がするんだ…」
と囁くようにつぶやいた。確かにこの病院の屋上からも晴れた日には遠くに富士山が浮かんで見えた。でも彼女が言うように、この絵に映る富士山は、他のどの場所から見える富士山よりもきれいな気がした。幼い年齢でそんなたくさんの場所に行ったことはなかったけれど、彼女が言うと確かにそんな気がした。

「ねえねえ、おっきくなったら、一緒に富士山に登らない?」
同じベッドにもぐりこんだまま、彼女が僕の耳元でそう囁いた。
「わたしたちさ、生まれつき体が弱いじゃない?だから友達もできないし、いつも一人ぼっちだし、一人じゃ何もできないんじゃないかなあって悲しくなる時があるの。でもね、もしけーくんと一緒に富士山に登ることができたら、きっと幸せになれるんじゃないかなって思うの。ね!約束しよ!!はい、指きりね! ♪指きりげんまん、うそついたらはり千本飲~ます!」
彼女の突然の提案になのか、それとも彼女を思いの外、近くに感じたからなのか分からなかったけれど、僕は胸をドキドキさせながら指きりをした後、また、わざとぶっきらぼうに
「そんなのわかんね~よ!それに俺そんな弱くね~し。ほら、いつまでここにいるんだよ!看護婦さんにまた叱られるぞ!」と怒ったように言ってそっぽを向いた。

彼女はちょっと悲しそうな顔をして自分のベッドに戻ったが、それでも布団から首だけだして、ニコっと笑いながらもう一度「約束したからね!」と言った。


…………だが、約束は果たせなかった。
その晩、容態が急変した彼女は集中治療室に運ばれ、その10日後、息を引き取ったという話を僕は看護婦さんから聞かされた。
幼い僕には、恋とか、愛とか、そして死だとかいうことがどういうものなのか、全く理解できていなかったけれど、それでも「喪失」という2文字は僕の胸に深く突き刺さっていた。彼女が息を引き取ったその晩、僕は生れて初めて、自分のためではなく、他人のために、彼女の喪失を想って、泣いた。


……それからおよそ20年の後、僕は三度、彼女との約束の地に立っていた。
小さい頃弱かった体は、今では風邪さえ引くことも殆どなくなった。
来年の夏、「僕たち」は初めて富士山に登る。志穂にはまだ本当の理由を話していない。

それでも。ふと、彼女は何もかも知っているのではないかと、思うことがある。
志穂と似た名前の少女と、幼い頃淡い約束を交わしたこと。
その約束を僕は果たすことができなかったこと。
志穂が少女と同じような境遇に生まれ、同じように富士山に登って幸せになりたいと願っていること。
そして……
僕が志穂のことを少女の生まれ代わりのように感じていること。

そんなことをぼーっと考えながら、顔を上げた時、突然強い山風が吹きつけてきた。
志穂が足元を取られ、倒れそうになったので、僕は慌てて手を引き、思いがけず彼女の瞳を真正面から見つめることになった。
その瞳の中に遠くに浮かぶ富士山が映っているのを見た瞬間、僕は気付いた。

違う。僕は過去に生きてはいけないんだ。
志穂は他の誰でもない、志穂自身であって、誰の生まれ代わりでもない。
他の誰でもない、志穂だからこそ、僕は彼女を愛しているんじゃないか。
そして、他の誰でもない僕と志穂との幸せのために、僕たちは富士山に登るんだ。

僕たちの運命は、過去にも未来にもない、今この時にしか存在しないのだ、ということを遥か悠久の時を越えてきた不死の山、富士山が教えてくれているような気がした。

僕は志穂の手を強く握って、「来年の夏、一緒に富士山に登ろう。そして、僕たち一緒に幸せになろうね。約束だよ……」とつぶやいた。
志穂は少し戸惑いながらも、こくんとうなずいた。

握った手を離さずに、僕たちは一つになった二つの手を前に差し出した。まるで、富士山が僕たちの手の中にあることを示すかのように。それは、どんな困難も乗り越えて見せるという僕と志穂との強い意志の表れだったのかも知れない。

どこまでも青い空、そこを舞っていた一羽の鳥はいつの間にか姿を消していた…
ふと、別れを告げるかのような甲高い鳴き声が聞こえた気がしたが、それは眼下を走る貨物列車の鳴らした長い汽笛だった……



[カバー写真 2010/12/4 東海道本線 由井~興津 この物語はフィクションです]

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赤富士に向かって [静岡]

次回ショートストーリー、現在鋭意執筆中です。
内容は富士山をテーマにしたもので、出来れば今週土曜日に公開できればと考えています。

どうぞお楽しみに!

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[2009/01/11 身延線 芝川~沼久保 Canon Eos 50D]


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富士山 [静岡]

先週末は雨が上がった翌日という事もあり、富士山の頂上まで大変クリアに見えていました。
昼過ぎまで頂上にガスがかからない富士山を見たのは久しぶりです。

ちなみにこのシーン、高速で走る新幹線をこの位置で止めるのは、結構な労力を要します・・・

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[2010/12/04 東海道新幹線 三島~新富士]


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運命 [日々鉄道小景~ショートストーリー]

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「わたしね、人の運命がわかっちゃうんだ・・・」
はるか彼方まで続く鉄路が、赤い夕焼けに染まる風景を見ながら、
彼女はぽつりとそうつぶやいた。
「えっ?」
驚いて振り向いた僕をじっと見つめながら、
「会う人がね、いつどこでどんな人と知り合って、どんな仕事に就いて、誰と結婚して、
そして……いつ死ぬのかも」
寂しそうに笑う彼女の大きな瞳には、天空に広がる茜色の空が映し出されていた。
もしかしたらその瞳の色は、空の色だけではなかったのではないかと思わせるほどに。

秋の終わりの田舎の空は限りなく澄んでいて、ひとすじのうろこ雲がまるで
終わりゆく季節を惜しむかのように地平線の彼方に伸びていた。
遠くの山の端に、今まさに消えんとする夕陽の最後の一しずくを受けながら、
その山に向かって一直線に伸びる眼前の鉄路もまた、赤く輝いていた。

もし、運命というものが存在するのなら。
人はそれに抗うことなど出来ないのかも知れない。
それは、やはりとても悲しいことなのだろう。

そして、
それを否応なく知ることになる彼女の悲しみもまた、
計り知れないものがある、と僕は思う。

普段は子供のように無邪気に振る舞っている彼女の、
それは初めて見せる一面だった。

もし、運命というものが存在するのなら。
それは眼前に広がる鉄路のようなものなのかも知れない。
僕たちが、そこにレールがあることに気づかないだけで、
もうずっと前から、そこにはレールが敷かれているのかも知れない。
列車は深い谷を渡り、高い山を登り、
春の桜、夏の海、秋の紅葉、冬の雪
めぐり行く季節の移ろいの中を駆け抜けながら、
一路、終着駅という名のゴールを目指しているのだから。

それでもなお。
僕は信じたい。
運命を作って行けるのは、他の誰でもない、自分自身だということを。

「僕の運命も分かるの・・・?」
そう問いかける代わりに、僕は彼女の右手を強く握った。
彼女は戸惑いながらも、少し遠慮がちに、それでも力強く、その手を握り返してきた。

僕たちの運命は、この線路のように平坦でまっすぐなものではないかも知れない。
そして、彼女もまたそれを分かっているのだろう。

それでも、僕たちは歩き続ける。
そこにレールがある限り。

・・・・・・終着駅という名のゴールに向かって。

僕たちは、日がすっかり暮れた群青色の空の下、
線路に沿った田舎道を、手を取りあって歩き始めた。

遠くの草陰から、虫たちの鳴き声が聞こえてくる。
空では大きな月が、そしてその隣では宵の明星が、小さく輝いていた・・・・・・


[カバー写真 2010/11/27 久留里線 小櫃-下郡 この物語はフィクションです]

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